『ボードゲームで社会が変わる: 遊戯するケアへ (河出新書)』
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ISBN:4309631711
今流行するボードゲームこそが、属性や能力主義による社会の分断を乗り越える「共存の哲学」である? 気鋭の評論家が各分野の専門家を招き対戦しつつ、普及活動のパイオニアと共に考える。
三宅香帆、辻田真佐憲、安田洋祐、小川さやか、安田峰俊、三牧聖子、
豪華6名の各分野の第一人者による、ボードゲーム体験記も収録!
「そういえば、小さい頃『人生ゲーム』をやったっけ」
「最近、妙に色々なところで見かけるけれど、流行っているの?」で終わっては、もったいない!
プレイする束の間、「個人の属性」も「能力の違い」もリセットする、
遊戯(ゆげ)の力が、
必ずこれから、誰もが一緒に〈楽しめる〉社会をつくっていく。
ブームの深層を読み解く――
「ボードゲーム哲学」、ここに誕生!
【目次】
まえがき 與那覇 潤
第1章 なぜボードゲームに注目するか――「ブーム」の理由と現在地
〈対談〉 小野卓也×與那覇 潤
ボードゲームで社会が変わる?/「目的」は遊びの大敵/ 山あり谷ありだった日本での普及/ プレイするのに「能力」は要らない?/「属性を忘れる」体験が平等感を養う/ おかしな日本の「実力勝負」偏重/「社会の分断」をボードゲームから解くと/「有限から無限を作る」のがアナログの魅力
第2章 ボードゲームをどう楽しむか――有識者6名とのプレイング
・書評家と「感性」を遊ぶ 『ディクシット』
〈寄稿〉三宅香帆 平成のカラオケ、令和のボードゲームカフェ
・近現代史研究者と「歴史」を遊ぶ 『主計将校』
〈寄稿〉辻田真佐憲 戦争ゲームこそ「政治的分断」を乗り越える
・経済学者と「戦略」を遊ぶ 『ナショナル エコノミー』
〈寄稿〉安田洋祐 経営者になりきって経済のしくみを実感
・文化人類学者と「偶然」を遊ぶ 『ハイ ソサエティ』
〈寄稿〉小川さやか 上流社会で勝ち残るのは運しだい?
・ノンフィクション作家と「中国」を遊ぶ 『ドラゴンイヤー』
〈寄稿〉安田峰俊 習近平体制が封じ込める「中国の現実」を体感
・国際政治学者と「交渉」を遊ぶ 『京都議定書』
〈寄稿〉三牧聖子 ゲーム名に心惹かれない「リアリスト」にこそ薦めたい
第3章 どんな未来をボードゲームは開くか――「遊戯するケア」の可能性
〈対談〉小野卓也×與那覇 潤
ボードゲームにも「作者」がいる/ 受賞作から辿るイノベーションの展開/ プレイスタイルが映す時代の個性/ シリアスゲーム・ブームの功罪/ ゲームはメリトクラシー(能力主義)を超えるか/「失敗できる」ことが多様性を引き受ける/「運や偶然」をカバーするデザイン/「人生のグラデーション」こそがアナログの意義
第4章 ボードゲームはなにを私に考えさせたか――リワークデイケアでの体験から
與那覇 潤
デイケアでゲームを司会する/ 人狼ゲームのルール/ 勝敗に「こだわりすぎる人」をどうするか?/「必勝法」を緩和する手法/ メリトクラシー(能力主義)とデモクラシー(民主主義)/ 簡単ならいいわけじゃない/ 陣取りは動物でも楽しめる?/「ひとり」での楽しみを大切に/ 入れ替わりのある「共同性」が持続する
第5章 ボードゲームはどこまで世界を掘り下げるか――「えっ!」と驚くテーマの作品たち
小野卓也
ボードゲームは社会を映す鏡である/ ウイルスから世界を守るゲーム/ 共産主義時代の品薄を懐かしむゲーム/ 原発事故から住民を避難させるゲーム/ 健康を維持してできるだけ長生きするゲーム/ 世界三大宗教のボードゲーム/ 激ムズの神経衰弱ゲーム/ 噓をついて相手を騙すゲーム/ そして同人創作ボードゲームの世界へ
はじめての買い方ガイド① 超・初心者のためのボードゲーム購入術 與那覇 潤
買う場所の選択肢はいろいろ/ 買う前のチェックポイント/ 買った後のアフターケア
はじめての買い方ガイド② シチュエーション別 おすすめボードゲーム10選 小野卓也
恋人やパートナーと「ふたりきり」で遊ぶ/「就学前の子ども」と一緒に遊ぶ/「小学生の子ども」と一緒に遊ぶ/ ふだん会わない「親戚どうし」で遊ぶ/「昼休みの空き時間」に軽く遊ぶ/「大人数のパーティー」を盛り上げる/「友達どうし」でまったり遊ぶ/「大人の趣味」として休日にじっくり楽しむ/「謎解き&脱出ゲーム」ファンで遊ぶ/「人狼ゲーム」ファンで遊ぶ
あとがき 小野卓也